石井裕@MIT

出過ぎた杭は誰にも打てない〜コンピューター研究者・石井裕〜

NHKの番組「プロフェッショナルの仕事」は Tangibleインタフェイスを生んだMITメディアラボ石井先生を取り上げていました。

若い人の力を引き出すのは飢餓感、屈辱感を生むように学生と教員が向き合うことだと言い切ります。30倍の競争を勝ち抜いた学生と徹底的に議論を尽した上で学生たちが真の独創性を発揮するようになるということでした。

研究テーマを持ち込む学生には "Why?", "Why?", "Why?" を繰り返します。"Why?" が学生がどれだけそのテーマについて考えてきたのかを掘り起こすのです。学生が提案する抽象的かつ曖昧なアイデアについて "Why?" を与えることで、彼らによりアイデアをより具体的に掘り下げることを求めるのです。「電話通信を通して相手の温もりが文字通りに届くような電話」、つまり電話を握るひとの手の温もりが話相手に温もりとして伝わるというのです。彼女は説明します「会話をするのにより多くのチャネルを持った方がいいのです。」

"Why?"

高機能、高性能、大規模という性質は悪いことではない。でも、そのことに必然性があるのか、一般性があるのか、その点が見えなければ新規性としての価値は限定的なものでしょう。

番組の最後の方でテーマ探しに苦しむ修士の学生ジェイミーの姿を追ってました。

研究者は自分が思いついたアイデアを愛している。でも、それを磨きあげる過程では、周囲からの批判に答えなくてはならない。

より高いレベルを提示して、学生をしゃにむにその高みを目指させているようでした。ホワイトボードを睨みつけながら、研究のアイデアをさらに掘り下げるジェイミーのメモの隅には "Need More" (もっと独創的なことを)。

石井先生は日本人は独創的だと言います。ただ「日本人に独創的な仕事ができるものか」と思っている海外の研究者にねばり強く研究の新規性を伝える努力が十分ではないということです。打たれても、打たれても負けてはいけないのですね。がんばりましょう。