ひらめき脳

まだ、チビチビと楽しんでいます。今日、目に止まったのは

創造性は「体験×意欲」のかけ算で表されると言って良いでしょう。(p. 117)

別の箇所で、「ひらめきは脳の喜び」とか、「感情の働きが加わると、ひらめきの記憶への定着作用は、より強固なものになる」とも書かれています。ひらめき〜創造性、喜び〜感情の働きと考えれば、創造性〜ひらめき〜記憶への定着〜経験という解釈も可能でしょうか。とすると、経験の積み重ねである体験はひらめきの積分ということになります。つまり、

創造性 〜 ∫ 創造性 × 意欲 dt

一般に若い人は意欲が高く、年齢を重ねるうちにやる気を失うと言われますが、稀に若いころの意欲を維持するすごい人もいます。そういった人の場合上の式を微分すると、それは指数関数の微分方程式になります。つまり、

創造性 〜 意欲t

ということになります。これは、体験が年を経るごとに指数的に増加することを意味します。普通のひとが何も考えようとしないことを 2 の意欲で 10 年も考え続けていれば、210 = 1,024 と、普通の人の 1,000 倍の体験ができる。これは普通の感覚で言えば、天才ということではないでしょうか。

もう一点、読んでいて嬉しかったのが、驚異的な記憶力を持った人物に関する調査です。ルリヤの調査の結果、「この男は他の人に比べて優れた何かが付け加わっているのではなく、むしろ普通の人の脳に比べて何かが欠落している」という結論を導き出したということです。茂木さんによれば、

正確な記憶を持つことと、新しい意味に気づくということは、もしかしたらトレードオフの関係にあるかもしれない

のだそうです。写真のように記憶することができた原始的な脳が創造性を取り入れるために、正確な記憶能力を犠牲にしたという仮説があるのだそうです。記憶力がおそまつだから、創造性が高いということにはならないでしょうが、記憶力のないことも個性のひとつだと思えるなんて嬉しいじゃないですか。