Karkare+07@HAV2007

理想的なゴミ集めの本来の目的は将来、利用される可能性のないデータ領域を回収して、利用可能な記憶領域として確保することにあります。多くの言語処理系で実装されているゴミ集めは、ゴミの指標として利用可能性ではなく、参照可能性を用いています。これは参照不可能なデータ領域は、アクセスが不可能なので、未来永劫、利用されることはないという理屈を用いているためです。つまり、「あるデータ領域が参照不可能」⇒「そのデータ領域が将来、利用されることはない」ということになります。参照可能性についてはポインタを辿ることによって比較的簡単に判断できます。

この論文では、静的解析を用いて将来、利用されることのないデータ領域を探すことによって、従来よりも記憶領域の利用効率を改善しようと試みているようです。論文概要には具体的な技術は書かれていません。静的解析のゴミ集めへの応用については、ずいぶん前にregion analysisが提案されていますが、それとの関係が気になります。

この論文自体の評価は内容を読んでみないと分らないのですが、このワークショップ(Heap Analysis and Verification, HAV) というのは知りませんでした。論文集は出版されないようですね。今年から始まったのかな?